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WINE SALON REPORT

2019/6/28 第4回 関 修 ワインサロン ワイン会

ル・ピュドロフスキ著
『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)の
発刊及び出版記念パーティー


第四回標準ワイン会「リーズナブルに楽しめるパーティー用本格ワインのすすめ」

日時 6月28日(金)午後7時より9時(午後6時半、受付開始)
場所 表参道「un café アンカフェ」

   東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア 
   電話 03-5469-0275
   http://www.uncafe-tokyo.com/

会費 7,000円(立食、フリードリンク付)

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お礼

 
 拙訳、ジル・ピュドロフスキ『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』(新泉社)の発刊及び出版記念パーティーのお礼
 
去る2019年6月28日(金)午後7時より、表参道「un café アンカフェ」にて行われました拙訳の出版記念パーティーはおかげ様で盛会のうちに終えることが出来ました。ご出席下さった皆さま、またスタッフ、関係者の皆様には心からお礼申し上げる次第です。
当日、五十名ほどの方々で会場は賑わいました。リーファーワイン協会会長、下野隆祥様の乾杯の御発声と共に宴は開始されました。ご挨拶いただいたお世話になっている方々、友人たちには心温まるお言葉いただき本当にありがとうございました。
また、会場には多彩な方々にお出でいただけました。軽妙なご挨拶をいただいたワイン仲間の三遊亭王楽師匠、二十年来の友人のジャズシンガーHISASHIさん。明治大学の校友で俳優の吉野悠我様。若き才能として、ファッションデザイナーの高橋颯人さん、輪島塗八代目の桐本滉平さんといった二十代の俊英の方々にも一言いただき嬉しく思っております。また、昨年編著『イケメンホストを読み解く6つのキーワード』でお世話になったSmappa!Group会長の手塚マキさん、ソムリエ資格を持つホストのMUSASHIさん、グループの飲料統括の小野田良さんにもご挨拶いただき感謝します。
今回のパーティーの目玉としては、まず、関が宴会用のワインをすべて自ら選び、プレゼンテーションしました。これはこのパーティーが第四回のワイン会を兼ねさせていただいたことに理由があります。ウエルカムドリンク・乾杯用のシャンパーニュから、白ワインは翻訳の著者ピュドロフスキを讃えて、彼の生まれ故郷アルザスの二種(リースリング、ピノ・ブラン)、赤ワインはフランスの二大ワイン、ボルドーとブルゴーニュ(グラーヴとオート=コート=ド=ボーヌ)を揃えさせていただきました。ワイン会のテーマである「リーズナブルに楽しめるパーティー用本格ワインのすすめ」につきましては別途解説させていただきます。
また、さらに赤ワインをもう一種類、日本人に馴染みのあるボジョレーの試飲ブースを用意させていただきました。これは関の友人の多田正智氏が昨年立ち上げたインポーター、メジア・ジャポン社のご紹介を兼ねたもので、本邦初上陸のシルーブルの代表的作り手、メジア家のクリュ・ボジョレーを数種比較試飲していただきました。
「食」に関しては、関が東洋大学時代、卒論の指導をした按田優子さんが開かれた「按田餃子」を会場「アンカフェ」様の御厚意で調理していただき提供させていただきました。按田餃子は『ミシュラン東京』で餃子がビブグルマンに最初に取り上げられて以来、ずっと掲載されている代々木上原にあるお店です。また最近、二子玉川に支店を出されました。料理研究家としても活躍されている按田さんは当日、仕事でペルーに出かけられており、残念ながら欠席されましたが、遠い地よりメッセージを寄せて下さりました。心から感謝します。
このように盛りだくさんの内容のパーティーはあっという間に時間が経ってしまいました。そして、リーファーワイン協会専務理事で、関が偏愛するワインのエチケット剥しの発明者である西尾宗三様から締めの言葉をいただき、名残惜しくはありますが会は終宴となりました。お出で下さった皆様、一人一人ともっともっとお話させていただきたかったのですが余りに時間が少なく、お構いも出来ず申し訳ありませんでした。また、当日は訳本を販売させていただきましたが、皆様、サインを求めていただき感謝します。このご時世、なかなか本が売れず、翻訳はその中でもとりわけ厳しいものがあります。おかげさまで当日用意させていただいた本は完売してしまいました。買えなかった方もいらっしゃったようで申し訳ありませんでした。何かの折にお目にかかった際にサインさせていただきますので、アマゾンなどでお求めいただければ幸いです。
 
また、今年はワイン会をあと二回行なう予定です。
まず、8月27日(火)午後7時より、神泉の「ビストロ・パルタジェ」にて、HP一周年記念のワインパーティーを。昨年の発足記念と同じ会場で、お気に入りのワイン持参歓迎の同じ立食スタイルの和気藹々とした楽しい会です。関がにわかソムリエとしてワインをその場で解説、サーヴィスさせていただきます。すべて手作りのシャルキュトリーが絶品。野本シェフの本格ビストロ料理も是非ご堪能下さい。
そして、11月5日(火)午後7時より、元代々木町の「シャントレル」を貸し切り、ミシュラン星付きのディナーを関チョイスのブルゴーニュで楽しんでいただく贅沢な会を催します。テーブル席は用いず、関の推奨するカウンターでのフレンチを12名限定で堪能していただきます。関が絶対の信頼を置く中田雄介シェフとの会話を交えながら、カウンターフレンチが「割烹」と通じる魅力のあるスタイルであることを五感で体験していただく企画です。
極めて対照的なスタイルのワイン会ですが、それぞれの「食の喜び」を堪能していただきたく、ご参加のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
最後に、今回のパーティーを通じて、新しい出会いが生まれ、さらなる皆様のご活躍へとつながったことと確信し、お礼の言葉とさせていただきます。
 

関 修

第四回ワイン会「リーズナブルに楽しめるパーティー用本格ワインのすすめ」解説

関 修

 
 今回は実際のパーティーで関の選んだワインを飲んでいただき、実践的な活用法を体験していただく良い機会だったと思います。というのも、大学の懇親会などパーティー形式の集まりが個人的には苦手なのですが、出席しない訳にもいかず出かけると必ず起こる問題が「飲む物がない」です。確かに以前と違って必ずワインが置いてあります。しかも、フランス製だったりして。居酒屋の飲み放題でもワインがあるのですから当たり前かとは思うのですが、このご時世にヴァン・ド・フランス、つまり以前のヴァン・ド・ターブルなんてスーパーでも売っているのを見かけません。あとはIGT、以前のヴァン・ド・ペイ、オックとかの広域ワインでソーヴィニヨンなどの葡萄品種別のもの。あるホテルではもう一ランク上がって、ローヌのヴァントゥーでした。残念ながら、関がお金を出して飲むワインではありません。まあ、飲み放題なんだから、あるいは日頃飲まないワインを勉強すると思えばいいではないか、と言われればそれまでですが、会費を払っている場合などやはり折角ならそれなりに美味しいワインにありつきたいものです。また、美食・ワインについて発言させていただいている人間が自身のパーティーでは店の出す飲み放題に甘んじているとのいうのも言行一致していない訳で、「まず、隗より始めよ」の絶好の機会と思った次第です。
 
 では、実際にそのメソッドを解説して行きたいと思います。
 
 

1.「ウェルカムドリンクの設置とシャンパーニュの使用」

 
 ある程度まとまった人数の場合、開始30分前くらいから受け付けが始まります。几帳面な方はもっと早めに到着しておられるかもしれません。受け付けを済ませ、開宴までの時間手持ちぶさたなのも失礼です。そこでウェルカムドリンクのコーナーを設置することをお薦めします。その際、お酒とソフトドリンクの両方を選べるようにしておきたいものです。今回は会場のアンカフェさんの御厚意もあり、ソフトドリンク数種とビールをご用意いただけました。そして、その際欠かしてはならないのが「シャンパーニュ」です。これはそのまま乾杯の折に注ぎ足して使うことが出来るアイテムです。
 ここで大切なことは出来る限り、グラスは底の浅い幅広のクープ(いわゆるシャンパングラス)ではなく、フルート(縦長の細身のグラス)にしてもらうこと。クープはこぼしやすいので着席の場合はまだしも立食の場合は危険です。また、炭酸が抜けやすいのであまり飲まれない方など乾杯までに気が抜けてしまって美味しくありません。
 そして、一番大事なのは必ず「シャンパーニュ」を用いること。よく、「泡」なら何でもと思われるでしょうがいけません。「腐っても鯛」ではありませんが、「安くてもシャンパーニュ」にして下さい。もちろん例外はあって、イタリア料理のヴァイキング形式であればスプマンテでもOKですが、シャンパーニュは万能です。スペインの「カヴァ」だってシャンパン方式だからとおっしゃるかもしれませんが、使っている葡萄品種が違います。つまり、味が違う。また、「シャンドン」などオーストラリアなど他の地域・国で同じ葡萄品種、方式で作っているものではどうかと聞かれれば、同じ値段のシャンパーニュがあるのに何故それを使わぬとお答えしたい。探せば2000円くらいから本物のシャンパーニュが手に入ります。通常のものが5000円くらいですからこれは気軽なパーティーにはちと厳しいものの、2000円のシャンパーニュならパーティーにも使えるでしょう。
 で、今回用いたのが
「ポワルヴェール=ジャック ブリュット(Poilvert-Jacques BrutNV」です。
ピノ・ムニエ50%、ピノ・ノワール30%、シャルドネ20%のセパージュです。
本来補助品種的に用いられるムニエを半分用いることでコストパフォーマンスの高さを維持しています。また、ノワールの濃さ、シャルドネのドライな酸味のどちらにも傾くことなく、中庸の美味しさを体現しています。気軽に飲めるがシャンパーニュの品格を失うことのない入門用にも適しています。ここを基準に自分の好きなタイプのシャンパーニュを探されるのも一興です。
 付言すれば、ウェルカムドリンクにも用いますので他のワインより多めに用意する必要があります。今回は1.5倍の本数を揃えました(他の各銘柄が67本に対し、10本)。
 
 

2.「パーティーの主旨に関連したワインを用意する」

 
 折角ワインを選ぶのですから、そのパーティーにちなんだものがあれば、ぜひ使いたいものです。例えば、十周年のお祝いであれば、十年もののワインを用いる。どなたかのお祝いでその方がワイン好きであれば、その方の好きなワイン(例えば、ボルドーの赤など)を加えるといったように。
 今回の出版記念パーティーでは翻訳の原著者がアルザス出身の方でしたので、著者に敬意を表して白ワインをアルザスワインにしました。フランスの白ワインと言えば、シャルドネが有名ですが、ドイツとの国境に位置するアルザス地方はドイツワインの葡萄品種が多数植えられている白ワインの名産地です。そこで二種類の白ワインを共にアルザスワインにしました。赤白揃えるのは常として、それぞれ一種類ですと飽きてしまいますので何種類かずつ出すのがよろしいかと思います。アルザスワインにはグラン・クリュを名乗れるワインを作れる主たる葡萄品種が四種類あります。まずその中から最も有名なリースリングを選びました。
「ボーマン リースリング(Baumann Riesling2016年 ACアルザス」
シャルル・スパルという作り手のもので、典型的なリーリングの味わいです。キューピーなどのセルロイド系の香り、即ちペト香(ペトロール=石油の香り)が明確に感じられ、味も淡白ですっきりとした仕上がり。クセがないので好評でした。
 また、アルザスという土地は他の地方ではあまり見かけない葡萄品種を結構多数栽培して興味深いワインを作っています。その代表格はグラン・クリュにもなっているゲヴュルツトラミネールですが、今回はよりマイナーなピノ・ブランを選んでみました。その名からも想像がつくように原産はブルゴーニュらしいのですが、ブルゴーニュはシャルドネが席巻してしまったのでフランスではアルザス、ピノ・ビアンコとしてイタリア北部、東欧でも栽培されているということです。
「ビュシェール=フィクス ピノ・ブラン(Buecher-Fix Pinot Blanc2016年 ACアルザス」
 「デメテール」のビオデュナミ認定を受けているビオワインです。ちょっと甘やかなコクのある作りでリースリングとは対照的。ヴィンテージも同じで比較しやすいように心がけました。
 
 

3.「ボルドー、ブルゴーニュなど王道ワインを選び、ワンランク上げたものを供する」

 
 最初に書きましたように、宴会などで供されるフランスワインは大概オックなどの南仏などで作られるヴァラエタルワイン(葡萄品種ごと)です。しかし、ボルドーワインは複数の品種の混交ですし、同じ葡萄としても土地が違えば味も違う訳です。オックのピノ・ノワールを飲んでそれがブルゴーニュと同じということにはなりません。ですので、出来る限り、各国の銘酒と呼ばれるものを揃えることをお薦めします。フランスであれば、ボルドーとブルゴーニュ。イタリアであれば、トスカーナとピエモンテです。これも比較対象のために両方出されると楽しみが増します。そして、その際、ACボルドー、ACブルゴーニュは避けるべきかと思います。イタリアであれば、キャンティとかバルバレスコ(2000円くらいからあります)にするべきだ、と。フランスの場合、ACボルドーは手頃なものの、余りに安易なワインが多くお薦めできません。他方、ACブルゴーニュは価格も味もピンからキリで選ぶのが大変。ドメーヌ(作り手)などの知識がないと選ぶのに一苦労します。そこで、キャンティやバルバレスコと同じく産地をワンランク限定したものを探してみましょう。
そこで、今回選んだブルゴーニュは
「オート=コート=ド=ボーヌ ドメーヌ・デュ・ボールガール(Hauts Côtes de Beaune Domaine du Beauregard2016年 ACブルゴーニュ オート=コート=ド=ボーヌ」
 まず、ボルドーとブルゴーニュでは各作り手の生産量が全く異なるので、ブルゴーニュは高価であるということです。ACブルゴーニュでも相場は3000円と思われた方が良い。ですので、気軽なパーティー向きではありません。今回の場合、さらにハードルを上げましたので正直、このレヴェルでリーズナブルな価格帯のワインはこの銘柄しか見当たらなかったといっても過言ではありません。
 しかも、ブルゴーニュは事情が複雑です。生産量が少ない割には広範囲に及んでいるのです。北から、シャブリで有名なヨンヌ県は飛び地で、いわゆるブルゴーニュ地方はディジョンからリヨンに至る線状の「コート」と呼ばれる丘陵地帯になります。北からロマネコンティに代表される赤が中心の「コート・ド・ニュイ」、その南にモンラッシェなどの最高級白ワインを産する「コート・ド・ボーヌ」、この二つを合わせて「コート・ドール(黄金の丘)」と言い、ブルゴーニュ最高のワイン産地となっています。さらにその南に、「コート・シャロネーズ」、「マコネ」と続き、「ボジョレー」まで広域的にはブルゴーニュに属します。従って、ACブルゴーニュはこれらのどの地域でも名乗れることになります。こうして、地域をワンランク絞った方が良いと言った理由がおわかりになったと思います。ただし、ヴォーヌ・ロマネなど村名ワインは5000円以上となりますのでパーティー向きではありません。では、何が可能かと言った時に思い浮かぶのが「オート=コート=ド=ボーヌ」と「オート=コート=ド=ニュイ」というアペラシオンです。これらは上記の「コート・ドール」の二地域及びその周辺の村に限定された銘柄です。村名にはかなわぬもののその片鱗は感じさせてくれることは確かです。
 さて、今回の作り手はちょっと複雑です。ミシェル・デペルノン氏が当主のこのドメーヌ、実は上記のどの地域にもありません。ボーヌとシャロネーズの境目からちょっと西にずれたところにある五つの村から成る「コート=ド=クショワ」というアペラシオンに属するサン=セルナン=デュ=プラン村にあります。ですので、当然、「コート=ド=クショワ」と「ブルゴーニュ」は作っています。しかし、この村は「コート=ド=ボーヌ」に接していて、実際、このドメーヌはマランジュとサントネというボーヌの村にも畑を持ち、村名ワインを作っているのです。従って、今回使った「オート=コート=ド=ボーヌ」はマランジュ及びサントネ産のセカンドクラスの葡萄を混ぜて作ったと想定されます。
 肝心のワインの質の方ですが個性的な味わいがあります。ちょっと田舎臭い感じがしますが、果実味だけのものが多いACブルゴーニュの多くのワインに対して、ピノ・ノワール単品種で複雑な味わいが表現されることを垣間見ることが出来るかと思います。
 さて、ボルドーはそれに比べれば、わかりやすいと思います。パーティー向きのアペラシオンとして「(オー=)メドック」と「グラーヴ」を押さえておけば間違いありません。関がパリでの海外研究時代、昼間出かけるビストロでワインと言ったら、メドックかグラーヴの若めで硬いものが定番でした。気軽な店では一番高い部類のワインでブテイユ(ボトル)で200フラン(4000円)ほどでした。他はみんなキャラフのワインを飲んでいましたから。
つまり、ムートンなどのあるポイヤックは村名ワインでやはりこれは高い。ブルゴーニュと原理は同じです。メドックは広域で上記ポイヤックはオー=メドックに属し、グラーヴも複数の村が名乗れます。五大シャトーのオー=ブリオンはグラーヴのペサック村にあります(アペラシオンは「ペサック=レオニャン」とさらに限定されていますが)。どちらもカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ=フランといったボルドー定番の葡萄品種の混交でオーソドックスなスタイルです。関はグラーヴのちょっとスモーキーな感じが好きで今回もグラーヴのワインを選んだ次第です。
「ル・カデ・ド・クーアン(Le Cadet de Couhins)、INRA(国立農業研究所)2015年 ACグラーヴ(Graves)
 申し訳ありません。関はセカンドワインを好みませんので、リーズナブルなグラーヴの無名シャトーにしようかと思ったのですが、シャトー・クーアンはグラーヴの格付けでグラン・クリュに指定され、しかもユニークな経緯を持つシャトーなので多くの方に知っていただきたくセカンドワインを取り上げた次第です。まず、クーアンはACとしては「ペサック=レオニャン」ですがどちらの村でもなく、ヴィルナーヴ=ドルノン村にあります。グラン・クリュに列せられているのは白ワインのみです。もともと白ワインのみを作っていたこのシャトーを1968年、フランス国立農業研究所が買い取ります。当時、シャトーを管理していたグラーヴの有名な作り手アンドレ・リュルトンは全21haの内、6haを手に入れ、「シャトー・クーアン=リュルトン」と名乗り、グラン=クリュの白ワインのみを生産して現在に至っています。残りの約15haINRAはワインを作っていますが、何故かグラン・クリュの白は3.5haほどで残りは格付けされていない赤ワインが主に作られているのです。セパージュはソーヴニヨン55%、メルロ40%、フラン5%との記述が(ペパーコーン『ボルドーワイン 第二版』)。シャトー・クーアン赤は4000円ほどですが今回のパーティーの予算ではちょっと難しかったのでセカンドの「ル・カデ」にしました。アペラシオンもワンランク下がって「グラーヴ」になっています。しかし、さすがにクラッセしている畑のものだけあって、タンニンのしっかりした深みのある味わいのワインでした。通常の気軽なグラーヴはもっとサラッとしていて果実のうまみで飲ませるようなタイプですが、現代的なしっかりボルドーをお客様たちは楽しんで下さったようで好評でした。
 さらに、日本初上陸のボジョレーの作り手、ドメーヌ・メジアの試飲コーナーも設けましたので、上記に加え、「ガメイ」種のワインも楽しめたことと思います。
 また、料理では、ミシュランでビブグルマンを獲得している「按田餃子」を「アンカフェ」さんのご協力で調理していただき提供しました。店主で料理研究家の按田優子さんの大学の卒論指導教官を関が務めた御縁での御厚意でした。
 このように、トピックとなるコンテンツも提供することでパーティーはより華やかで彩り豊かなものとなるでしょう。
 最後に、ワインは足りなくなることのないよう、多めにご準備下さい。今回は50名を想定して、上記のシャンパーニュ、白二種類、赤二種類で計36本(三ケース)用意し、数本余った感じです。
 皆さんも是非、ワインを最大限に生かしたパーティーを催していただければと思います。
 

関先生、いったいあなたは何者なんですか?

出版記念パーティレポート
フリーライター 三宅 扶樹
 

2019年6月末、表参道「un café アンカフェ」にて、関先生の翻訳本『ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?』の出版記念パーティが行われた。ワインと料理、そして何より多彩な顔触れの出席者(約50名)でにぎわう2時間となった。
リーファーワイン協会会長 下野様のカンパイの御発声にはじまり、なごやかにパーティが開始された。何とも大人のパーティで、出席者それぞれがそれぞれに、飲食や会話、そして出会いを楽しんでいるという雰囲気だった。先生がセレクトしたワインも出版本とともにこの日の主役だ。このワインについては、先生がお礼にも書かれているので詳細は避けるが、ワインのプレゼンはもちろん、料理に合わせて先生がワインを注いでくれるという贅沢な時間でもあった。そして、さまざまな方面で活躍されている出席者があいさつに立った。当然、みな先生と交流のある方々なのだが、この多彩(多才!?)さに驚く。ワイン会や仕事の仲間と言えど、肩書きは「弁護士」「会社経営者」「デザイナー」「ジャズシンガー」「輪島塗職人」「同級生」「落語家」「教え子」などなど、まさにダイバーシティだった。
筆者と先生との出会いはこの数ヵ月前で、先生が教鞭をとられている大学の公開授業を受講したことだった。誘ってくれたのは、代々木上原・二子玉川に店舗をかまえる人気店「按田餃子」店主、按田優子さんで、彼女の大学時代の卒論担当の先生が関先生であったそうだ。筆者はライターである一方、按田餃子で働かせてもらっている縁で授業を受講し、このパーティにも参加させていただいた。
そもそも先生が専門とする「哲学」「社会学」という学問自体が得体の知れない学問である。筆者が受講した授業もデザイナーやホストクラブの経営者が、それぞれの視点で街のファッションやホストを職業とする若者の生活、生き方を語るものだった。社会人になり長い年月が経つ者にとっては、生きること、その時間や場所そのものが「哲学」や「社会学」に通じ、また他者のそれを知ることで自分の人生が豊かになる。すべてが自分に、自分のの時間に続いてることを実感できるものだ。さて、若者たちは授業を通して何を感じただろう。
話が逸れた。
このパーティの出席者の多彩さが、先生ご自身と先生の専門とする学問に通じていると感じたこと、そして、関先生とはいったい何者なのか、と強く思った。いい意味で学者ぽくないし、でもものすごく人なつっこいわけでもない。男とか女とか、若いとか自分と年齢が近いとか、偉いとかお金があるとか、そんな一般社会のメジャーみたいなものが、先生には多分まったく意味を成さないのだ。
人と人は、年齢や境遇、また美味しいワインや食事がつないでくれる側面も大きい。でもだからこそ、ダイバーシティの中心には、やはり柱が必要なのだ。、関先生がすごいのは、先生が柱なのにそこに威圧感がない。ドヤ顔もしない。だから、各方面で活躍されているさまざまな肩書きの方々が、先生を中心にしながらも力まずそこにいられる。
ガツガツせず、ゆるりゆるりと不思議な時間が流れる夏の始まり。心地よい数時間だった。
 

Gallery

※参加者及び関係者の皆さまには、当日撮影した写真を閲覧及びダウンロードできるサイトをご用意しておりますので、下記アドレスに閲覧希望の旨をおしらせください。

 

info@osamu-seki.com