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WINE SALON REPORT

2019/8/27
第五回 関修HP開設一周年記念ワイン会

 

日時:8月27日(火) 19:00(開場:6:45)〜21:30(予定)
会費:6,000円(多数の方にワインをご持参いただきました)
定員 30名
場所:Bistro Partager (ビストロ パルタジェ)

   東京都渋谷区神泉7-14 オザワビル 1F
   https://bistropartager.com/
   Map

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第五回 関修HP開設一周年記念ワイン会のお礼

 
 さる827日(火)午後7時より、神泉のビストロ・パルタジェで行なわれましたHP開設一周年記念ワイン会も無事終えることが出来ました。月末のお忙しい時にもかかわらず、二十五名ほどでの祝宴となり、今回も「楽しく美味しい」ひと時を皆様と分かち合えました。ここに心からお礼申し上げる次第です。
 思えば、一年前、先行き不透明なまま、動かなければ何も始まらないと桑名さん、金子さんのご協力を得て、HPを立ち上げました。長年の懸案であったジル・ピュドロフスキの翻訳も無事、新泉社から出版することが出来、出版記念パーティーをワイン会も兼ねて行わせていただきました。そして、お約束通り、年四回のワイン会の半分を外苑前のランタンポレル、代々木上原のロカヴォールという素敵なフレンチを貸し切りで使わせていただけ、会食形式で行なうことが出来ました。どの回も満席となり、これもひとえに皆様のご支援のたまものと感謝するばかりです。
 一周年記念ワイン会は発足記念と同じビストロ・パルタジェさんで開かせていただくことは最初のワイン会が終わった時点で決めておりました。これからも毎年、年を重ねるさいはこの素敵な隠れ家ビストロに集まって、初心に帰って思いを再び一つにしたいと思っております。どうか、よろしくお願いします。
 今年は人数的にもちょうどいい感じで、昨年のようなちょっとした圧迫感を感じるといった趣はなく、何回かワイン会で顔を見たことのある方も皆さんいらっしゃるようで、適宜場所を移動して話に興じておられました。出版記念のさいはペルーに行かれていて餃子を提供下さった按田餃子の按田優子さんもご参加下さり、嬉しく思っております。
 ワインはブルゴーニュの赤が中心となりましたが、全体的に統一感があって、結果的には良いチョイスとなっていました。とりわけ、偶然とはいえ、マルサネ、フィクサン、ジュヴレ=シャンベルタンとコート・ド・ニュイの最北からきれいに三つ南下する形での村名ワインが並んだのは壮観でした。提供された十六銘柄のコメントを昨年同様アップさせていただきますので、ご参照くだされば幸いです。
 また、今回ブルゴーニュを飲んでいただけたのは、115日(火)に開催されます2019年最後の第六回ワイン会の予行練習にもなって、好都合だったと言えます。会食形式でミシュラン一つ星を獲得している代々木八幡の「シャントレル」を貸し切り、カウンター12名限定で行なわせていただきます。シェフの中田雄介氏がブルゴーニュ愛好家ですので、筆者が持ち込ませていただくブルゴーニュ(白一種類、赤二種類)に合わせていただき、皆様にご提供させていただく予定です。
 今後も立食形式と会食を織り交ぜて「楽しく美味しい」ワイン会を続けていく所存ですので、どうかご支援ほどよろしくお願いします。
 最後になりますが、今回も素晴らしい料理を提供下さり、皆さんを幸せな気持ちにして下さったビストロ・パルタジェの野本将吾シェフ、そしてスタッフの皆様にお礼申し上げます。鱧や稚鮎といった旬の食材をフレンチに仕立ててご提供いただき、皆さんお喜びでした。来年もどうかよろしくお願いします。
 では、これをもちまして、お礼の言葉とさせていただきます。

関 修

 HP一周年記念ワイン会のワインリスト

 
 多くの出席者の方がワインを持参下さり、ありがとうございました。店から出されたワインも含め、当日のワインをリストにしました。関はすべてテイスティングさせていただきましたので、簡単な解説・コメントを付させていただきます。当日供されたワインは十六銘柄に及びました。
 
 
スパークリング (一銘柄)

1.クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュット、ブラン・ド・ノワール NV、(ポール・ドゥラーヌ)(店)

ブルゴーニュの飛び地ヨンヌ県(シャブリのある県)サン=ブリにあるカーヴ・ド・バイイ協同組合が作るクレマン。ピノ・ノワール90%、ガメイ10%と赤ワインを作る葡萄から果皮を除いた果肉のみを用いて作った色のついていない泡なので「黒(ノワール)の白(ブラン)」の名が。シャンパーニュ方式で作られているので、適度なコクとしっかりした炭酸の爽やかさが心地よい。コストパフォーマンスの高さを感じさせる。
 
 
白 (四銘柄)

1.ボーマン リースリング、ACアルザス、2016年、シャルル・スパルHP運営)

アルザスワインにはグラン・クリュを名乗れるワインを作れる主たる葡萄品種が四種類あり、最も有名なリースリングを選択。典型的なリースリングの味わい。キューピーなどのセルロイド系の香り、即ちペト香(ペトロール=石油の香り)が明確に感じられ、味も淡白ですっきりとした仕上がり。クセがないので好評でした。
 

2.ピノ・ブラン、ACアルザス、2016年、(ビュシェール=フィクス)(HP運営)

フランスではアルザスにしか見られないピノ・ブラン種のワイン。その名からも想像がつくように原産はブルゴーニュらしいのですが、ブルゴーニュはシャルドネが席巻してしまったのでフランスではアルザス、ピノ・ビアンコとしてイタリア北部、東欧でも栽培されている。「デメテール」のビオデュナミ認定を受けているビオワイン。ちょっと甘やかなコクのある作りでリースリングとは対照的。ヴィンテージも揃え、比較しやすいよう心がけた。
 

3.シャブリ プルミエクリュ、ACシャブリ プルミエクリュ、2016年(エミール・デュラン)(金子さん)

 ブルゴーニュを代表する白ワインの「シャブリ」。クレマンでも触れたように実は飛び地のヨンヌ県にある。その中でもワンランク上の土地がプルミエクリュに。畑の名前が記されていないので複数の畑のものを混ぜたのでは。デュランは1420年創業のネゴシアン、パスキエ・デヴィーニュの別ブランド名とのこと。味わい的にはやはり酸の切れ味が特徴で、プルミエだけに複雑さと上品さが加わった感じ。
 

4.ハウス・マルケ スーパーナチュラル 2017年、(モリック)(島田さん)

 オーストリアの白ワイン。ウィーンを首都とするドイツ語圏の国だけに主流は白だが、このワインはハンガリー国境のブルゲンラント州という赤ワインの名産地で作られている希少な白ワイン(全体の5%ほど)。モリッツはこの地の赤ワインの代表的作り手。セパージュはオーストリアの白葡萄であるグリューナー・フェルトリナー80%、シャルドネ20%、隠し味程度にリースリングとのこと。辛口ではあるが酸よりは落ち着きのある果実味が特徴的。
 
 
 ロゼ (一銘柄)

1.ミス・ロゼ 2018年、(モンテ・サントッチョ)(阿掛さん)

 ヴェネツィアのあるヴェネト州、ヴェローナ産のワイン。ヴァルポリチェッラの作り手。イタリアワインのインポーター「アビコ」の阿掛社長が持参下さった。作り手のHPにもまだ記載されていない新商品とのこと。辛口で冷やして飲まれることを勧める。ロゼにありがちな後味のエグ味がなく、程よい重さで暑い夏にはピッタリか、と。
 
 
 赤 (十銘柄)

1.カベルネ・ソーヴィニヨン ヴィントナーズ・リザーヴ 2013年、(ケンダル=ジャクソン)(篠原さん)

 ソノマ・カウンティにある、カリフォルニアワインを代表する大手ワインメーカーの手になる、まさに標準的なカリフォルニアのソーヴィニヨン。色合いは濃いがボルドーが青みがかっているのに対し、赤っぽい。舌に重くのしかかりまとわりつくも、チリのようなベタツキ感はない。アフターに若干の甘味。
 

2.ピノ・ノワール ローズロック 2015年、(ドルーアン・オレゴン)(篠原さん)

 ブルゴーニュはボーヌの大手ネゴシアン「ドルーアン」のヴェロニク・ドルーアンがカリフォルニアの北にあり、アメリカにおけるピノ・ノワールの産地であるオレゴン州、ウィラメット・ヴァレーに設立したワイナリー。2014年から新たにエオラ・アミティ・ヒルズで作り始めた銘柄がこの「ローズロック」。よりニュイの趣があるとのことだが、香りは華やか、味も果実味が生かされていて悪くない。ただし、やはりアフターに独特の甘味が残るのがブルゴーニュとは異なる。
 

3.タラブーソ IGTトスカーナ、2015年、(テッレ・デル・マルケサート)(按田さん・岩野さん)

 スーパートスカンと言われ、現在、ボルゲリというDOCを獲得している地域にある作り手。「サッシカイア」のサングイート葡萄園の一部を購入し、カベルネ・ソーヴィニヨン100%。
とくれば、期待も高まる。しっかりと樽を効かせて、タンニンも豊富。ボルドーに比べ、ボディに膨らみがある。あと輪郭がややぼやけた感じになるのもこの地域のワインの特徴。ボルドーでもなく、カリフォルニアでもないボルゲリ特有のソーヴィニヨンの味を堪能できる逸品。
 

4.シャトー・アベリス AC サンテミリオン グランクリュ、2010年、(アメリ・オベル)(篠原さん)

 ボルドー右岸のメルロ主体のワインを作る代表的地域。しかし、サンテミリオンでメルロ100%は珍しい。本来、カベルネ・フランを得意とする地域であるから。同じ地のグランクリュクラッセ、シャトー・クースポードを所有するオベール家が2004年に購入したシャトー。シャトー名はオーナーの二人の子供、アベルとアリスから。ちょうどよくこなれていて、優しい味わいのボルドー。もう少しタンニンがあっても良いが、果実味の熟成を楽しむには最適の一本。
 

5.オート=コート=ド=ボーヌ ACブルゴーニュ オート=コート=ド=ボーヌ、2016年、(ドメーヌ・デュ・ボールガール)(HP運営)

 ここからはブルゴーニュが続きます。ACブルゴーニュは数が膨大で、作り手によって価格も出来も千差万別。そこでACをワンランク上げると確実により個性的なブルゴーニュに出会えます。このワインはいわゆるコート=ドール(黄金の丘)と呼ばれるブルゴーニュでも最良のワインの出来る二つの地域の中の南の方「ボーヌ」一帯を指すアペラシオン。オーナーのミシェル・デペルノンのドメーヌはボーヌの脇にある小さなACコート=ド=クショワにありますが、ボーヌのサントネとマランジュにも畑を所有していますので、このワインはこのボーヌにある畑の葡萄から作られています。洗練された感じではありませんが個性を感じます。ブルゴーニュの赤がピノ・ノワールという葡萄だけから作られているにもかかわらず、無限に多様な味わいを生み出すことを実感できるはず。
 

6.ブルゴーニュ メゾン・デュー ヴィエイユ・ヴィーニュ ACブルゴーニュ、2016年、(ドメーヌ・ド・ベレーヌ)(橋詰さん)

 これは普通のACブルゴーニュなのですが、話題性の大きななかなかの逸品。まず、一般論として、ヴィエイユ・ヴィーニュとは古樹の葡萄を用いているとの表示で67年とエチケットに記載があります。古樹は収穫量が低くなるため、果実に栄養が行き渡り、旨味溢れる滋味豊かなワインが出来ると言われています。で、注目すべき第一は、作り手がニコラ・ポテルであること。ポテルは自身の名の付く大手ネゴシアン「ニコラ・ポテル」を退き、自らワイン作りを始めたのですがそれがこのドメーヌ。第二にこの「メゾン・デュー」というのは畑の名前なのですが、これがいわく付きで、ポマール村にあるのです。1930年代後半にACを制定する際、何故か、道を挟んでこの畑の北側までだけがポマールを名乗ることを認められることに。つまり、それまでポマールで売られていたこの畑のワインはその後、ACブルゴーニュ扱いに。名手が作る上質の畑のワインは新樽率0%という古典的な作りで実に個性あふれるもの。次のルフレーヴを比べるとその違いに驚かれることでしょう。
 

7.ブルゴーニュ キュヴェ・マルゴ ACブルゴーニュ、2015年、(オリヴィエ・ルフレーヴ)(桑名さん)

 ルフレーヴはピュリニィ=モンラッシェの代表的作り手。ネゴシアンとしても大手。果実味を生かし、タンニンもほどほどで透明感のある絶妙な厚みの仕上がり。ACブルゴーニュの典型といえる出来。おそらく誰もが飲みやすいと思われるだろう。スッと入ってゆく。シャンパーニュのNVのようにいつ何時もブランドの均一の味わいを求める作り方。それが「キュヴェ」。抜群の安定感。
 

8.マルサネ AC マルサネ 2016年、(シャンソン)(紺谷さん)

 ここから村名ワイン。今回は偶然にもコート=ドールの北側、コート=ド=ニュイのさらに最北端の村名ワインが三つ並びました。その一番北がマルサネ。シャンソンは1750年創設のメゾンで、1999年ボランジェグループ傘下に入り、多くの良質のワインを送り出す大手ネゴシアンとしても活躍の場を広げている。このマルサネも果実味を生かし、クセのないしっかりした作りに仕上げている。酸の硬さがこのACの特徴でそれが良く出ている。
 

9.フィクサン クール・ド・ヴィオレット AC フィクサン 2015年、(フレデリック・マニャン)(高橋さん)

 マニャン家はモレ=サン=ドニのドメーヌ。現当主、フレデリックがネゴシアンに乗り出し大成功を収める。ルロワに範をとったビオロジックの実践など、テロワールの特性を生かしたワイン作りを実践。フィクサンはマルサネの南、このワインの葡萄はクレ・ド・シェーヌという畑のものらしい。抜栓した瞬間から香りが立ち、グラスにグリセリンが流れる。味わいも優雅で旨味が広がる。その分、後半やや酸が立ってバランスが崩れてしまった。どのタイミングで飲むかが気になる。
 

10.ジュヴレ=シャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ AC ジュヴレ=シャンベルタン 2014年、(ガブリエル・トルトショ)(関)

 ナポレオンの愛した「シャンベルタン」はこの村のグランクリュ畑。ブルゴーニュの赤の銘酒はここから始まり南下して行く。トルトショ家は1865年から四代にわたり、ジュヴレ=シャンベルタン村でワインを作る名家。現在はガブリエルの娘、シャンタルとブリジットが跡を継いでいる。伝統的な作り方に有機農法を取り入れ、2013年にエコセールの認証を受ける。このワインは樹齢40年以上の古木からの葡萄で作られている。味わいに複雑さがあり、タンニンも充分。重心の低さを感じさせる。華やかさより味わい深さを求める方に向いていよう。
 
語り出すときりがなくなってしまいますので、なるべく短くまとめたつもりなのですが。今回は赤がとりわけブルゴーニュ中心で、ブルゴーニュについてはついつい筆が滑ってしまいました。皆様もご自分の愛するワインを大いに語って下さいますよう。
最後になりますが、ワインを持参してくださった方々、とりわけ三本もお持ち下さった篠原さんには心よりお礼申し上げます。
では、次回をお楽しみに。
 

関 修

 

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