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WINE SALON REPORT

2019/11/05
第六回ワイン会
「カウンターフレンチの粋、ブルゴーニュとのマリアージュ」

秋の夜長、ミシュラン一つ星レストランを皆さんと独り占めにして、
「楽しく美味しい」贅沢な時間をご一緒出来ますことを楽しみに・・・

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第六回ワイン会のお礼

 
去る115日(火)19時より元代々木町「シャントレル」にて行われました今年最後のワイン会も無事終了することが出来ました。ミシュラン一つ星店を貸し切っての贅沢な会であり、会費もワインを持ち込ませていただいたので低く抑えられたものの決してお安くは無くなかったのですが定員を満たすことが出来、参加下さった方々に感謝する次第です。
 今年の会食形式のワイン会は「ビストロ対グランメゾン」というテーマで立地も代々木上原界隈に限定し、まず36日に「ロカヴォール」にてビストロの会を行ないました、その際のワインはフランスワインということで、シャンパーニュ、アルザス、ボルドー、ブルゴーニュとフランスの代表的ワインを網羅したものでした。
 それに対し、今回のワイン会はシャントレル店主中田雄介シェフがブルゴーニュ愛好家ということもあり、ブルゴーニュの代表的銘酒を関がセレクトして持ち込ませていただきました。ムルソー、ポマール、ニュイ=サン=ジョルジュとコート・ドールを代表するアペラシオンのワインを堪能していただきました。
 また、今回の会場「シャントレル」はミシュランで一つ星を獲得しているだけではなく、関が推奨する「カウンターフレンチ」の典型として関自身が足繁く通うお気に入りの店でもあり、ご参加くださった皆さんに関の「食の哲学」の一端を体感していただけたことと思います。なお、カウンターの意義につきましては、リーファーワイン協会での連載「美食批評への誘い」第三十四回「カウンターでの食事の楽しみ」をご参照いただければ幸いです。
 さて、今回中田シェフが仕立てて下さったコース料理は、通常のシャントレルでの秋の料理をベースにこのワイン会用にメインを事前に三種類提案され、関と協議の結果、「仔鳩」に決定した次第です。「シャントレル」という店名自体がフランスのキノコの名前に由来していることから、さらに今回は「キノコづくし」という秋に相応しいコース仕立てとなりました。それは中田シェフが修行されたフランス、オーヴェルニュ地方にある三つ星「レジス・マルコン」のマルコンシェフが得意とするのがキノコ料理だからです。フランスのグランメゾンはパリだけではなく、このようなスタイルの店がフランス各地に点在し、片田舎に世界中のグルメがさながら巡礼の旅を行なう。現在、その代表が「レジス・マルコン」なのです。
 アミューズの「木の子のクロックムッシュ」から始まり、舞茸、シャントレル、セップ茸、ジロール、ピエブルーとほとんどの皿にそれぞれキノコが用いられています。中でも、コースの最初を飾る「茸茶」は複数のキノコをふんだんに使った贅沢なコンソメで、関はこの「茸茶」を飲むためにこの店に通っていると言っても過言ではありません。というのも、季節によって用いるキノコが変わり、味わいも微妙に変化するからです。とりわけ秋はシーズンなので通常は乾物を用いるところを生のキノコからエキスを抽出しますので、深みには若干欠けるものの、フレッシュなキノコの香り、優しく甘さを感じさせるこの時期ならでの味わいは格別と言えましょう。
 メインの「仔鳩」は半身をソテーし、ジュのソースにさらにレバーを溶かし込んでコクを深めたものです。通常であれば、ジュのソースで軽やかに仕上げるところを古典を重んじる関のためにさらに手間をかけてソースを作って下さいました。メインのワイン、マルタン=デュフールの手になる「ニュイ=サン=ジョルジュ、プルミエ・クリュ、オー=ザルジラ、2008年」の熟成感を感じさせる気品ある複雑な味わいと見事なハーモニーを醸し出していた次第です。デセールは五種類から皆さん自由にチョイスされていましたが、見事に分散していて、さすが食べ慣れた方々と感心した次第です。
 平日だったのでやや開始が遅れてしまったものの気付くと十時半を回っておりました。本当はもっとゆっくりされたかった方もいらっしゃったかと思いますが、それはぜひ次回、ご自身でシャントレルを訪れ、中田シェフとの料理する姿と会話を楽しみながら、ご堪能いただけたらと思います。
 こうして、2019年度のワイン会も無事予定通り行なうことが出来ました。これもひとえに、「楽しく美味しい」という当HPのモットーにご賛同いただき、ワイン会に足を運んで下さった皆様のおかげと心からお礼申し上げる次第です。来年もスタッフの力をお借りし、皆様の期待に応えられますよう頑張る所存です。今後ともどうかよろしくお願いします。
 最後になりますが、今回多大な無理を言ったにもかかわらず、快く引き受けて下さったシャントレルの中田シェフ、そしてソムリエの香西さん、スタッフの皆さんに心からお礼申し上げる次第です。
 では皆様、来年もまた「美味しく楽しい」時間を共有できますことを!
 ありがとうございました。

関 修

開催概要

 

日時 2019115日(火)午後7時より
場所 元代々木町「シャントレル」

    東京都渋谷区元代々木町24-1 アブニール元代々木1F 
    03-5790-9918

    https://chanterelle.jp/   Map
会費 20000円(料理、ワイン付)
定員 12名限定


第六回ワイン会(於シャントレル)のワインリスト及び解説

関 修

 
 今回のワイン会は「カウンターフレンチの粋、ブルゴーニュとのマリアージュ」とありますように、スティルワインはブルゴーニュで統一させていただきます。というのも、今回お邪魔する「シャントレル」の中田雄介シェフはブルゴーニュ愛好家で、店のワインリストもブルゴーニュ中心となっているからです。昨今、オーナーがシェフのレストランではシェフのワインの好みを前面に出したリストないしマリアージュにするのが主流と言えましょう。これは議論の余地はあるもののリーファーによって、世界中の多彩なワインが良い状態で提供可能になっているからと考えられます。
 ただ、ワインにかける予算に限りがあることと中田シェフの好まれる作り手はまさに通好みの知る人ぞ知る的な方々が多いので(シャンタル・レスキュール、ローラン・ピヨなど)、これらは今後皆様がシャントレルを贔屓にして下さり、その際に堪能されますことを祈念して、この度は同じブルゴーニュの銘酒を今後の指針になりますよう、できる限りオーソドックスな形でご提供するべく関がチョイスさせていただいた次第です。
 なお、今回はブルゴーニュの中でも「コート・ドール(黄金の丘)」と呼ばれる銘酒を産出する地区(ロマネコンティの代表される「コート・ド・ニュイ」とモンラッシェに代表される「コート・ド・ボーヌ」)の二つに分かれます)の中から選びました。なお、ACブルゴーニュは飛び地となりますシャブリの在るヨンヌ県を最北に、ディジョンからリヨンへと南下して行くコート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、コート・シャロネーズ、マコネ、ボジョレの各地区からなる広域のアペラシオンとなります。
 ですので、今回はブルゴーニュの中のブルゴーニュともいえる銘酒をご紹介できると自負する次第です。どうか、ご堪能下さいますことを。
 
まず、シャンパーニュはお店にお任せしました。というのも、グラスで提供するレヴェルのシャンパーニュは選択肢が多く、その店のセンスが窺い知れるからです。今日は何が出されるのか楽しみですね。
 
補遺
当日は「A・R ルノーブル ブリュット ブラン・ド・ブラン」NV(AR Lenoble  Brut  Blanc de blancs  NV)が出されました。1920年創業のグランクリュに相当するシュイィ村に居を構えるメゾン。ブラン・ド・ブランはシャルドネ100%で通常はシャープな辛口で爽やかな飲み心地を楽しむものですが、ルノーブルはどちらかというとリッチな作りになっています。さらに、中田シェフが購入して五年間セラーに寝かせておかれたので、ノンヴィンテージながら熟成感が出て、色も黄金色で複雑な旨味を引き出すことに成功しています。これもまた、プロの技というべきでしょう。
 
スティルワインは以下の通り(サーヴィスする順)です。
 

「ムルソー」  ドメーヌ・シャンソン 2017年
(Meursault Domaine Chanson 2017)
 「ムルソー」はコート・ト・ボーヌを代表する白ワインのアペラシオンです。つまり、モンラッシェ(村名としてはピュリニィ=モンラッシェとシャサーニュ=モンラッシェ)と並ぶブルゴーニュ白ワインの代名詞といえます。確かに「シャブリ」が有名ですが、上記のように飛び地のヨンヌ県で産出するワインですので、同じシャルドネ100%でもタイプが異なります。シャブリが酸が表面に出て切れの良さやミネラル感が魅力的なのに対し、ボーヌのシャルドネは香りのエレガントさ、味わいの豊潤で複雑な奥深さ(銘酒は寝かして飲まねばなりません)と同じ葡萄を使っても出来るワインのスタイルは対照的と言えましょう。さて、セレナ・サトクリフは『ブルゴーニュワイン』で、「ブルゴーニュの完璧な白ワインといえば、ムルソーを味わった時の印象をもとにして、イメージを作る人が多い」と書いています。また、「かすかにナッツとシナモンを連想させる印象的なブーケを持ち、強く長持ちをする風味をそなえている」とも。その片鱗を感じていただきたく選んだのは、1750年ボーヌで創業した老舗メゾン「シャンソン」です。1999年にボランジェの傘下に入り、現代にマッチしたワイン作りが好評を得ています。ムルソーはリーズナブルなものがほとんどなく、予定していたものが何種類か欠品でシャンソンも2015年を買いそびれ、新しいヴィンテージで申し訳なく思っております。
 
赤1
「ポマール」アレット・ジラルダン 2013年
( Pommard  Aleth Girardin  2013)
 ボーヌは赤ワインも作っており、その代表格が「コルトン」と「ポマール」そして「ヴォルネ」です。ポマールはヴォルネと共に赤ワインだけを生産しています。ヴォルネのエレガントさに対して、ポマールの濃厚で力強いスタイルは対照をなしているといえましょう。作り手のアネット・ジラルダンはポマールにメゾンを構えるこのアペラシオンの代表的作り手の一人。良心的な価格でワインを提供してくれています。5年を過ぎ、それなりにこなれた感じを楽しんでいただけると確信しております。  
 
赤2
「ニュイ サン ジョルジュ プルミエ クリュ オー ザルジラ」 マルタン=デュフー ル2008年(Nuits-Saint-Georges 1erCru Aux Argillas Martin-Dufour 2008)
 トリはやはりニュイのワインをご提供させていただこうと思います。ボーヌが厚みのある華やかな感じの赤ワインを産出するのに対し、ニュイはタイトで背筋がピンと伸びるような格調高い威厳のあるスタイルが特徴的です。ピノ・ノワールだけでこれほど多彩で複雑な味わいが作られることに驚きを隠せません。ただし、やはりニュイのワインは高い。しかも、メインなのでただの村名ワインではなく、ワンランク上げた一級畑のワインを何とかご提供できないかと探しに探した結果たどり着いたのがこのワインです。ニュイ=サン=ジョルジュはコート・ド・ニュイの「ニュイ」の由来となるこの地域を代表するアペラシオンですがグランクリュ(特級)畑はありません。オー・ザルジラの畑はヴォーヌ・ロマネに近い方にあたり、よりしっかりした構成とタンニンが強く、「心和ませるというよりは、むしろ気持ちを奮い立たせるもの」(サトクリフ)と言えそうです。
 ヴィンテージは折角なので10年を超えた熟成感を味わっていただけるものにしました。2008年はあまり良い年ではないのでもう飲み頃かと思われます。実はこのワインだけ、ちょっと捻りがあるというか、作り手が無名と言えます。90%はフランス国内で消費されているそうです。しかも、メゾンはニュイではなく、ボーヌのショレ=レ=ボーヌ村にあります。ボーヌには多くの畑を所有しているのですが、ニュイにはこのオー・ザルジラの一部を所有するのみ。当主のジャン・ポール・マルタンが六代目という家族経営のまさしくブルゴーニュの古典的スタイルのワインを楽しんでいただけたらと思う次第です。

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