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Wine Salon 2018/8/1

Wine List

HP公開記念ワイン会のワインリスト

 
 多くの出席者の方がワインを持参下さり、ありがとうございました。店から出されたワインも含め、当日のワインをリストにしました。関はすべてテイスティングさせていただきましたので、簡単な解説・コメントを付させていただきます。当日供されたワインは十八銘柄に及びました。
 
 

スパークリング (三銘柄)


サンメラン・ブリュット NV

1. サンメラン・ブリュット NV  《店》

 ブルゴーニュの飛び地ヨンヌ県(シャブリのある県)サン=ブリにあるメーカーの作るヴァン・ムスー。ピノ・ノワール、ガメイ、シャルドネ、アリゴテをブレンド。サッパリ軽やか。

甲州スパークリング NV、(マグヴィス〔MGVs〕ワイナリー)(島田さん)

2. 甲州スパークリング NV
 (マグヴィス〔MGVs〕ワイナリー)《島田さん》

 半導体メーカーがオーナーの勝沼にあるワイナリー。甲州とマスカットベリーAの
日本品種二種だけを栽培。2015年、16年のワインをブレンドして作ったスパークリ
ング。後続の白に比べ、黄色がかっておりコクが感じられる。ユニークな味。


シャンパーニュ・ブリュット NV、(ティエリー・トリオレ) (今井さん)

3. シャンパーニュ・ブリュット NV
 (ティエリー・トリオレ)《今井さん》

 コトー・ド・セザンヌのべトン村にあるメゾン。クリュッグにも葡萄を供給。家族
経営のレコルタン・マニピュラン。シャルドネ70%、ピノ・ノワール30%。バランスの
取れた中庸の味わい。


 

 

白(四銘柄)


1.リースリング・カビネット 2014年、(ザールフェルザー・シュロッスベルク、トリアー慈善連合協会)(米山さん)

1. リースリング・カビネット 2014年
 (ザールフェルザー・シュロッスベルク、トリアー慈善連合協会)《米山さん》

 ドイツワイン、モーゼル地方の代表的作り手のもの。単独畑のリースリングから作
られている。カビネットは肩書き付き上級酒(QmP)の中では一番辛めであるが、あ
くまで甘口ワイン。つまり、現在の辛口ワインとは異なり、以前は甘口ワインがドイ
ツワインの主流。上品で穏やかな甘さが特徴。


甲州勝沼町 2017年、(マグヴィス〔MGVs〕ワイナリー)(島田さん)

2. 甲州勝沼町 2017年
 (マグヴィス〔MGVs〕ワイナリー)《島田さん》

 上記、スパークリングと同じ作り手。フリーラン+プレス混合、ステンレスタンク発酵。千葉に本店のある酒屋「いまでや」とのコラボ。408本限定中、139番。立派な作りで味に膨らみがある。酸より複雑な果実味に特徴あり。


ガーヴィ 2016年、(ニコラ・ベルガリオ)(阿掛さん)

3. ガーヴィ 2016年
 (ニコラ・ベルガリオ)《阿掛さん》

 イタリアワイン、ピエモンテを代表する白ワイン。コルテーゼ100%。阿掛さんが営まれる「アビコ」が輸入。阿掛さんのひくワインはどれも常識を覆すもの。このガーヴィも通常の硬く酸の立った金属的な趣とは異なり、色も黄色みがかり、香りも濃厚。味にもグラマラスさが。


ブルゴーニュ シャルドネ 2015年、(ドメーヌ・ド・ロシュバン)

4. ブルゴーニュ シャルドネ 2015
 (ドメーヌ・ド・ロシュバン)《店》

 マコン地区の中心、アゼ村に居を構える家族経営のドメーヌ。農薬を極力使わないリュット・レゾネ農法を実践。古木の葡萄から作り、樽がけも。平均的なACブルゴーニュの味わいだが、コストパフォーマンスの高さで重宝がられている銘柄。

 

 

赤(十一銘柄)


イニシアル カベルネ・ソーヴィニョン 2014年イニシアル カベルネ・ソーヴィニョン 2014年

1. イニシアル カベルネ・ソーヴィニョン 2014年
 (くらむぼんワイン)《景山さん》

 勝沼町祝地区にあるワイナリー。このワインは山形県上山町で収穫されたソー
ヴィニョンを用いて作られている。フレンチオーク樽で一年熟成ののち、無濾過、非
加熱で瓶詰。小ぶりな仕上がりながら、タンニンも程よく全体のバランスも良好。日
本ワインとは思えない上質の出来。


メルロ 2016年、(リュー・ド・ヴァン)

2. メルロ 2016
 (リュー・ド・ヴァン)《桑名さん》

 長野県東御市、千曲川沿いにあるワイナリー。外国品種を植えている。日本ワインのメルロの典型的なスタイル。軽やかに仕上がり、果実味のすっきりした味わいの中にメルロらしい酸より微かな甘味が感じられる。


ディアーノ・ダルバ 2015年、(カーサヴェッキア・マルコ)

3. ディアーノ・ダルバ 2015
 (カーサヴェッキア・マルコ)《阿掛さん》

 イタリアワイン、ピエモンテ。ドルチェット種から作られるワイン。アルバのすぐ南、ディアーノは同品種のワインを最初に公認された区画=町の名(ソーリ)。ネッビオーロとドルチェットの関係は、ブルゴーニュにおけるピノ・ノワールとガメイに相当。即ち、果実味豊かで早飲み。イタリアワインにしては酸が主張しないので素直に楽しめる。


コッリーネ・サルッツェージ 2013年、(エミディオ・マエロ)

4. コッリーネ・サルッツェージ 2013
 (エミディオ・マエロ)《阿掛さん》

 同、ピエモンテ。筆者も初めて飲んだDOC1996年から)。しかも、葡萄品種がペラヴェルガ。「色の薄いピエモンテの希な葡萄品種でイチゴ風味のワインを造る」(J・ロビンソン『ワイン用葡萄ガイド』)。ネッビオーロがピノ・ノワールにスモークをかけたような味わいとすれば、ペラヴェルガはピノ・ノワールをさらにベリー化した味わい。ブルゴーニュグラスで香りを立てて飲むと酸が目立たず、まさにブルゴーニュの味わい。さすが「アビコ」!


キュヴェ・デ・ガレ、IGT コトー・デュ・ポン・デュ・ガール 2016年、(エステザルグ葡萄栽培者組合)

5. キュヴェ・デ・ガレ、IGT コトー・デュ・ポン・デュ・ガール 2016
 (エステザルグ葡萄栽培者組合)《店》

 ここからフランス。コート・デュ・ローヌのACリラックから南西に10㎞ほど行ったところにあるエステザルグ村の10名ほど作り手から成る組合。日本でお馴染みのダンデゾンもメンバー。グルナッシュが主体でシラーが必ずブレンドされるのがこの組合のルールとか。コストパフォーマンスの高さで本国でも人気。ローヌの赤の入門に最適。


パッション、ACコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ 2010年、(ドメーヌ・ド・ヴェニュス)

6. パッション、ACコート・デュ・ルーション・ヴィラージュ 2010
 (ドメーヌ・ド・ヴェニュス)《紺谷さん》

 スペインとの国境ピレネ東部の産地でその中でも28の村に与えられるAC。ボジョレー・ヴィラージュと同様の扱い。この作り手はサン=ポール・ド・フヌイレ村にメゾンを構える。有機栽培されたカリニャン、シラー、グルナッシュをブレンド。南仏のワインらしく、スパイシーな力強さを感じさせる。ほどよく熟成し、作りも品格を感じる。飲み頃。


シャトー・サント・コロンブ、ACコート・ド・カスティヨン 2005年、(ジェラール・ペルス)

7. シャトー・サント・コロンブ、ACコート・ド・カスティヨン 2005
 (ジェラール・ペルス)《篠原さん》

 ボルドー、サンテミリオンに接する産地。近年、リーズナブルで美味しいボルドー右岸のACとして注目される。メルロ70%、カベルネ・フラン30%。オーナーのペルスはシャトー・パヴィなどを所有の富豪。ミシェル・ロランをコンサルタントに据え、1999年にスタートしたものの2008年に生産を中止してしまったとのこと。採算が合わなかったのかも。そのくらいリーズナブルで高品質なワイン。2005年はボルドーの良作年で熟成感もありつつ、まだまだいけるという仕上がり。鳩(コロンブ)のエチケットと共に印象深いワイン。


トロワ・セードル・デ・ドメーヌ・エドモン・ド・ロートシルト、ACモンターニュ・サンテミリオン 2012年、(ベンジャマン・ド・ロートシルト)

8. トロワ・セードル・デ・ドメーヌ・エドモン・ド・ロートシルト、ACモンターニュ・サンテミリオン 2012
 (ベンジャマン・ド・ロートシルト)《渡邉さん》

 ボルドー、サンテミリオン衛星地区と言われるモンターニュ、ピュイスガン、リュサックの三つの村の一つ(現在のモンターニュはサン=ジョルジュとパルサックが三村合併したもの〔1972年〕。サン=ジョルジュは高品質のワインを産したために、現在でもACサン=ジョルジュを銘記できる)。ラフィット・ロートシルトを所有するロスチャイルド家の一員、エドモンの息子ベンジャマン男爵はボルドーに二シャトーを所有する。その一つがピュイスガンのシャトー・デ・ローレ(もう一つはリストラックのシャトー・クラルク)。ところがこのローレはピュイスガンとモンターニュの境目にあり、モンターニュにも畑が広がっている次第。このワインはそのローレのモンターニュ側でできた葡萄から作られたワイン。セパージュはメルロ70%、カベルネ・フラン20%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%。タンニンよりはメルロの果実味がまさった比較的穏やかな味わい。


シルーブル、ACシルーブル 2016年(ドメーヌ・ド・ラ・コンブ・オ・ルー、メジア家)

9. シルーブル、ACシルーブル 2016
 (ドメーヌ・ド・ラ・コンブ・オ・ルー、メジア家)《多田さん》

 日本未発売、近日発売予定。ボジョレーの中でも最良のワインを産する十か所(クリュ)に産地呼称が認められているその一つ。シルーブルはその中でも一番軽やかで華やかなワインを産する。メジア家は「ほれぼれとするシルーブル」と評される(S・サトクリフ、『ブルゴーニュワイン』)、シルーブルを代表するメゾンの一つ。また、エール・フランスが顧客用にボジョレー・ヌーヴォーを発注している作り手でもあり、日本での発売が待ち遠しい。誠実な仕事を感じる「美味しい」ボジョレー。


サントネ、ACサントネ 2001年、(パトリック・クレルジェ)

10. サントネ、ACサントネ 2001
 (パトリック・クレルジェ)《関》

 関の銘酒に関するモットーは「ワインは寝かせて飲め」。中でもブルゴーニュに対しては「村名ワインを飲むべし」。これらは別に高いワインだけに該当するわけではありません。このサントネなどはその典型。ボーヌのネゴシアン、クレルジェがおそらくは村の複数の作り手からワインを買い付けブレンドしたもの。サントネもコート・ドールのボーヌ側(もう一方はニュイ)の村ですから理にかなっています。サントネ村のワインの特徴を正確に伝えているかは疑問ですが、ACブルゴーニュとは明らかに違う味わい。しかも、二十年近く熟成したブルゴーニュが手軽に楽しめます。このようなワインの嗜みをベースにレストランで銘酒を味わえば、その素晴らしさもより明確にわかることでしょう。


ヴジョー クロ・デュ・ヴィラージュ ACヴジョー 2005年(レマリー・セシ)

11. ヴジョー クロ・デュ・ヴィラージュ ACヴジョー 2005
 (レマリー・セシ)《関》

 ヴジョー村はその栽培面積の4分の3以上がグランクリュのクロ・ド・ヴジョーというブルゴーニュでも重要な村の一つです。レマリー家もまずクロ・ド・ヴジョーの一区画を購入したのですが、その後道を隔ててすぐのこのクロ・デュ・ヴィラージュの一部を購入したのです。こちらは普通のヴジョー。2005年はブルゴーニュもグレイトヴィンテージです。クロ・ド・ヴジョーなら最低でも二万円はします。腐ってもヴジョーなのか、それはあなたの五感でお確かめください。いずれにせよ、サントネとは全く別の味わいです。


いかがでしたでしょう。語り出すときりがなくなってしまいますので、なるべく短くまとめたつもりなのですが。得意のボルドーについてはついつい筆が滑ってしまいました。皆様もご自分の愛するワインを大いに語って下さいますよう。
では、次回をお楽しみに。
 

関 修